鷲尾英一郎の日記

鷲尾英一郎衆議院議員(地元出身!県民党として動く! 筋を通し行動する!)の公式ブログ。鷲尾英一郎本人更新

鷲尾英一郎の日記

旧民主党が政権交代に至った国会対応

今では考えられないことだが、2003年、旧民主党はそれまでタブーとされていた有事法制の法案に、与党とともに賛成し、その後の国民保護法制定に大きく貢献した。まさにこの国会対応を境に2大政党へ道を大きく踏み出したと確信している。

当時は北朝鮮の不審船やテロ活動の脅威があり、日米同盟のガイドラインも冷戦後の対応を踏まえて変質していた。日本の求められる役割が大きく変わり、有事法制制定の機運はかつてないほど高まっていた。

翻って今や、中国の脅威や米国の東アジアでの影響力の低下まで加わっている。2大政党を目指すならばどういう対応が求められるか、野党として深く考えねばならない。
そうでなければ、政権交代の芽すら完全に消えてなくなってしまうだろう。

と、結論を先走ったが、平和安全法制や、組織犯罪処罰法(共謀罪法案)の審議に際して、民進党は過去を忘れたかの様に反対することに終始した。

与野党対決法案の審議に際しては、大きく分けて2つの対応が考えられる。
ひとつは、とにかく他の野党と共闘して反対し審議日程を引き延ばして、時間切れ廃案を目指す対応。他方、とにかく反対では与党に数で押しきられるから、修正協議に持ち込んで出来るだけ野党の意見を法案に反映させるという対応。

面白いことに2つの立場の支持者は明確に分かれる傾向にある。

前者の対応を支持するのは、民進党内の左派、その支持者、あるいは社民党幹部と言った人たちで、もっと華々しく反対してくれ!という声を聞いた。他方、後者の対応を支持するのは民進党内の保守系だ。少しでも前進させ現実に責任を持ちたいとする心構えからなのだろう。

特に2015年以降の国会対応は、他の野党との連携を重んじる余り、対応が硬直化した感がある。もちろん、選挙は大事だが目先の選挙を目当てとする対応がどういう結果を生むか。国民のニーズや関心に建設的に対応することが何を生むか。まさに過去の国会対応に学ぶべきではないか。

歴史から学ぶ「テロ支援国家」再指定の意義。

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時すでに遅きに失しているかもしれない。米国が2008年に北朝鮮に対するテロ支援国家指定解除を行ってから、ようやく再指定となったが、失われた時間は大きい。

この間、北朝鮮は核開発を止めなかったし、米国をもずっと欺いて来たのだから、国としての覚悟が違うと言うべきか。

北朝鮮の覚悟に対して国際社会がどこまでの覚悟を示せるかという段階に既に入っているのではないか。

北朝鮮の国家としての意思、つまり独裁者の意思を分析することは幾らでも出来るだろう。「北は本気で攻める積もりはない」「南北朝鮮統一を狙っていて対外的野心はない」「米国もミサイル開発をしているから北が同じことをやって何が悪い」「核開発をしたとしても自国の防衛が目的だ」などと分析して見せても、北朝鮮はこれからも覚悟を示し続けるだろう。

こんなときこそ、歴史を紐といて考えなければならない。

第2次世界大戦の始まる前、ナチスドイツは政権を取ると再軍備と徴兵制を復活した。たとえヴェルサイユ条約違反だとしても、自国防衛の為となれば、当然の措置だと周辺国も納得せざるを得なかった。続いて、非武装地帯とされたラインラントに進駐した。

さすがに度重なる違反に対して、英仏も警戒を抱かないわけではなかったが、両国民の間には平和主義が蔓延しており、ヒトラーは戦争を企てている訳ではない、自国防衛の為には当然だという論調も手伝って、ヒトラーの行動を認めざるを得なかった。さらにはオーストリア併合については同一民族だから、という理由で干渉しなかった。

さすがにチェコスロバキアズデーテン地方の併合に当たっては、衝撃が走った。しかし当時のイギリスチェンバレン内閣は宥和政策に出た。ヨーロッパは平和が保たれたとしてチェンバレンは拍手喝采を受けたが、チェコスロバキアの代表はミュンヘン会議にも呼ばれず犠牲となったのである。

その結果がどうであったか?

ズデーテン地方にはマジノ線に匹敵する要塞線と軍需工場であるスコダ社があったが、ヒトラーはそれらを奪い、着々と戦争準備を進めて、チャーチル首相が批判したように、ついに「不必要な戦争」を起こすに至るのである。

宥和政策をとるイギリス政府に対して、チャーチルは常にナチスドイツを叩くべきだ、と主張したが、残念ながら受け入れる者はなかった。

その後の歴史こそがチャーチルの評価する所を変えたのである。

北朝鮮が覚悟を示し続けるならば、私たちも覚悟を持たなければならない。私たちは、これからも、これまで以上の脅威にさらされると考えるべきだ。

国会質問について


与野党の時間配分について色々な議論がなされている。

結論から言えば、与党は内閣が提出する法案の事前審査を行っているから、国会は与党審査終了後の法案について議論を行うことになる以上、野党に質疑時間が多く配分されるのは当然だ。

しかし、与党からは質疑時間の配分を与党により多くすべき、という強気の議論がなされている。今般の総選挙の結果が与党を強気にさせているし、それでも世間の与党支持率が下がらないことを見ると、有権者は従来型の野党の質疑に余り価値を見出だしていない様だ。

これをきっかけに、野党の国会戦略、具体的には国対戦術は根本的に改めるべきだ。
特に、スキャンダル追及ばかり行い、重要な問題を議論せず、政府の揚げ足を取っているだけというイメージは悪い。野党幹部が思っているより余程、野党に染み付いて離れないイメージである。同時に、一部の与野党対決法案では、野党はプラカードを掲げ、バリケードを築いて深夜まで国会を開かせるという国対戦術がテレビで中継される。

これでは、たとえ与野党が合意する法案が約8割と言ってみても、全く訴求力がない。

実際、予算委員会での質疑者は必ず激しく追及する立ち居振舞いを求められる。建設的で穏当な質問はむしろ野党内では忌避され、テレビ中継が入る質疑であればなおさらその傾向は強い。

野党幹部は、質疑の内容如何よりも、ワイドショーでの視聴率や放映時間を基準とすることが多い。他方、新人議員はテレビ中継に出れば地元で活動していると認められるから、積極的に、より激しく追及の技を磨くことになる。

けれども、私の個人的感想としては、それでテレビ中継に出たとしても、果たして見込んだ結果が伴うかは疑問だ。それで野党の支持率は上がらないばかりか、与党の支持率は下がったとしても一時のこと。そのうち与党の支持率は回復しても、野党は揚げ足を取ってスキャンダルを追及していたというイメージだけが国民に残ることになる。

民進党時代は変わらなかったが、果たして新党がどのような国対戦術を取るのか本当に期待して見ている。もうこれ以上同じことを繰り返して頂きたくない。ここまで結果が出ていても野党国対戦術は変わらないのだろうか、、、、、。

野党幹部の間には、安倍政権ではどうせ色々な問題が出てくるはず、という根拠無き楽観論が蔓延しているだろうが、不都合な真実から目を背けては党勢拡大は望めない。
野党の質問が国民に貢献しているとの実感があれば、与党を強気にさせることはあり得ない。

過去の有事法制制定時における当時の民主党の対応を思い出してほしい。そこから政権交代への道筋が始まったと考えている。